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カワサキ ZRX1200S整備

クラッチレリーズOH

初代GPZ900Rから始まり、ZRX1200Sまで30年以上7台も乗り継いでいると、このシリーズのだいたいの「強い所/弱い所」というのは素人のオレ様でも分かってしまうものです。
オレ様のZRX1200S通勤快速号も9万キロも走るとボチボチあれが逝くな?と思っていたら案の定クラッチフルードが減ってエア噛みしました。油圧クラッチはその構造上、フルードが減る事は無く、劣化も殆どしません。なので基本ほったらかしですが、エアが嚙むということは何処かでフルードが漏れているということで、フルードを足すだけでなく修理が必要です。そして、修理に使う工具はたったコレだけ。

レリーズの脱着に8ミリのボックスレンチを使うのがメインで、エア抜きに10ミリのメガネ、リザーブタンク開けるのにドライバーを使うだけ。

で、過走行になってくるとクラッチフルードが漏れてしまう現象は、GPZ900R系全部の特徴です。レリーズシリンダーにチェーンオイルがついてレリーズのオイルシールが痛むからです。マスターシリンダーのリザーブタンクを開いてフルードを足し、中のフルードがオイルで黒く汚れていたらまず間違いなくコレが原因です。

フルードを足して少し走った後のリザーブタンク。本当なら透明なフルードがこの有様。

クラッチレリーズはこの中に入ってます。8ミリのボルト2本で外れます。

開けるとこんな感じでレリーズシリンダーが鎮座してます。
3本の8ミリボルトで止まってますが、下側の1本だけ長いです。
それから、大したトルクでは止まってないんですが、ネジロック剤が使われているのでちょっと硬いです。

外してみると、こんな感じで油と砂が混じった汚れで酷いことになってます。

レリーズシリンダーからピストンを抜きます。クラッチレバーをニギニギして油圧で押し出せば簡単に外れます。バイスみたいな工具を使うと傷だらけになります。

外したピストン。シールはまだ柔らかいですが、耳の部分がだいぶヘタって汚れと痛みがあります。

ピストンは、スプリング/シール/ピストン本体の3つに分解できるので、スプリングとピストン本体は分解して綺麗に掃除します。

新しいシールに交換して組み立てると、こんな感じ。

シールをしっかり組み付けても、シールの耳がこれ位張ります。交換前とは全然違う。

次に、レリーズ本体の掃除です。コレを綺麗に掃除しないと砂が噛んでフルート漏れにつながります。
チェーンクリーナーやパーツクリーナー、どうにもならない汚れには1000番位のペーパーで綺麗にします。アルミボディーなので程々の所まで綺麗にします。

アルミボディなんで、表面の腐食跡や砂が噛んだ傷はどうにもなりません。シールゴムが入る奥の方はまだまだ綺麗です。

レリーズが取り付けられていた穴を見ると、中にドライブスプロケットとチェーンが見えます。コレがレリーズを汚してフルード漏れになる原因です。
チェーンクリスが飛び散って、砂と一緒にレリーズにくっつくんです。アホじゃなかろうかと……
ドライブスプロケットカバーの中もかなりの汚れが堆積するんで、本来なら外して掃除するところですが、1年位前に掃除してるんで今回は割愛。レリーズ穴の周辺だけ掃除します。

組み立てたレリーズを取り付けます。3つあるボルトのうち下のボルトは長いです。短い上の2本は本来ネジロックを使いますが、私は使ってません。ただ、8ミリなんであんまり強い力では締められません。
あと、プラスチックのダンパーが挟まってますが、一つだけ穴が大きくなっていて、それが下側に行きます。長いボルトのネジ部分が大きいせいです。

あとは、エア抜きをして完成です。クラッチマスターからレリーズまでの間にはチェーングリスの汚れが入っているんで、出来るだけ綺麗にして完成です。

ここまで綺麗になりました。

しかし、オレ様はこの油圧クラッチってのがどうも好きになれません。油圧でレリーズを動かして、プッシュロッドでエンジンの反対側のクラッチカバーを押すって無駄な気しかしません。ワイヤーでクラッチフォークレバーを動かす方が簡素で故障にも強くて整備性もいいと思うんですがね。
油圧クラッチは、4輪車みたいにクラッチワイヤーの取り回しがキビシイ曲がり方や、ワイヤー交換が難しい乗り物用だと思いますよ。

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