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カワサキ 650RS W3

W3のハザードを復活させる

 元々の設計では、W3はハザード機能が付いていますが、多くのW3では外されています。これは、W3のハザード機能の設計が悪く、操作性が恐ろしく悪いので外してしまっている事が多いからです。オレ様のW3も購入時にハザードスイッチどころか、ハザードリレーまで撤去されていました。
 しかし、今時の交通事情でハザード機能が全く無いというのはちょっと不便です。所謂サンキューハザードの類が特に。まぁ、手上げればいいだけなんですが、元々ハザードの仕組みがあるのに機能しないのはモヤッとします。そこで、オレ様のW3ではハザードを復活させています。実は、このハザードを復活させる方法もノーマル戻しを含め幾つかあるんですが、「オレ様の場合」の復活方法も含めて紹介しておきます。

 まずは、次の配線図を見てみてください。

 これは、W3純正ノーマル時のウインカー・ハザード部分の配線図を書き起こしたものです。問題のある動作を説明をすると……

  • 前期型の場合
     ハザードリレーの電源がバッテリーに直結されているので、メインスイッチの位置に関係なくハザードスイッチをオンにすれば常にハザードが出る。
     ウインカーとハザードを同時に出した場合、両方のリレーが動作状態になり変な点滅をする。点滅のしかた自体はウインカーリレーの性能次第でどうなるか不明。
  • 後期型の場合
     ハザードリレーの電源がメインスイッチのハザードポジションとしか接続されていないので、走行中等はハザードスイッチをオンにしてもハザードが出ない。
     走行中でも、ウインカーを出している状態でハザードスイッチをオンにするとウインカーの点滅が回り込んでハザード点滅をしようとする。ただし、当時モノ純正のウインカーリレーでは容量が足りない場合があり、その時はおかしな点滅をする。
  • 前期型後期型共通
     ハザードではパイロットランプが点滅しない。

 といった具合です。絶望的なのは、前期型だと悪戯でハザードスイッチをオンにされるとバッテリーが上がるまでハザードが出続けて走行不能になることで、発電機がフィールドコイル式のW3はバッテリーが完全に死ぬと押しがけでもエンジンが掛からず新しいバッテリー持ってくるしかなくなります。また、後期型では純正のウインカーリレーを使っていると走行中にちゃんとハザードが出ない場合があります。絶望的では無くても結構モヤります。

 そこで、ハザードスイッチを汎用ハザードスイッチで復活させ、かつ、前期型後期型の問題点を対策するとどんな回路になるか配線図を書いてみました。

  1. ハザードスイッチ
     純正のハザードスイッチは3極のスイッチですが、オレ様っが使っている汎用ハザードスイッチは2極なのでダイオードを2つ使って電気の回り込みを防ぐ必要があります。この部分はそれぞれウインカーランプ2つ分の電流(4A弱)が流れるので「エーモン 整流ダイオード 6A」のように容量の大きいダイオードが必要です。
  2. パイロットランプ
     左右のウインカーランプの電圧差で点灯させているせいで、電圧差が出ないハザードでは点灯しません。そこでパイロットランプの片側をアースに落とし、もう片側を左右のウインカーランプのプラスに接続します。ここも電気の回り込みを防ぐ必要があるのでダイオードが2つ必要ですが、小さい電球1個分の電流なので「エーモン 整流ダイオード 1A」のような小さめのダイオードで対応できます。
  3. 前期型ハザードリレーの電源
     前期型のみの話しです。前期型はバッテリーから直結しているのが問題なので、メインスイッチの駐車ポジション(キーシリンダーの赤い配線)に接続します。この配線は、メインスイッチがオンの時と駐車ポジションの時のみ12Vが出るだけなので、悪戯でハザードスイッチをオンにされてもバッテリー上がりにはつながりません。
     ただし、メインスイッチが駐車ポジションの時は駐車灯も点灯してしまいます。
  4. 後期型ハザードリレーの電源
     後期型のみの話しです。後期型はメインスイッチがハザードポジションにならないとハザードリレーに電気が流れないのが問題なので、ACCからダイオードを経由して電気を供給すれば走行中もハザードリレーに電源が供給されてハザードスイッチ操作だけでハザードが出るようになります。
     ダイオードは「エーモン 整流ダイオード 6A」のような容量の大きいものが必要です。

 これで、とりあえずはハザードの問題点は解消すると思います。ただ、全くもって完全でもないハズです。例えば、ウインカースイッチとハザードスイッチを同時にオンにすると、両方のリレーが動作するはずです。どんな動作になるかは、それぞれのリレーの性能や供給される電力なんかで変わってくると思いますが、自身でその辺を考えながら使うことになると思います。

 そして、オレ様が実際に使っている回路はというと次のような配線図になります。

 前期型車両なんですがキーシリンダーを後期型に変更して、思いっきりワンリレー化してます。しかも、ウインカーアラーム付きです。
 オレ様のW3は元々ハザードリレーが無かったのでハザードリレーを追加したんですが、現在カワサキから出るリレーは当時モノでは無く、今時のウインカーリレーにファストン端子の足をつけた「リレー アッシ ターン シグナル 27002-0003」になります。四角いプラスチック製で見た目はアレなんですが、W3のハザードリレーを取り付ける場所は、バッテリーケースの裏側の奥の方という全く目立たない場所なのでコレを使いました。しかも、ハザード対応の今時ウインカーリレーなので、当時モノ純正の電圧が下がるとヨレヨレになってくるウインカーリレーとは雲泥の性能差です。「だったら、当時モノ純正のウインカーリレーいらねんじゃね?」と作った回路がコレなんです。
 これで、安定して今時のオートバイと全く同じようにウインカーとハザードが使えます。見た目上、当時モノ純正ウインカーリレーは残してますが、配線はしていません。また、当時モノ純正のリレーではうまく動かないかもしれないので注意してください。(前期型当時モノ純正ウインカーリレーでは、容量不足でハザードが動きませんでした)

 この辺りの仕様もオーナー様それぞれの思い次第と思いますが、全くのノーマルに戻すのも面白いと思いますし、便利に出来るところは便利な方がいいと割り切るのもいいと思います。
 オレ様の純正こだわりはわりといい加減で、見た感じや大体の乗り味が当時っぽければ使い勝手自体は良い方が良いと思う派だったりします。ルールは「車検に通る」だけなんですから、好きなようにやりましょう。

2022年12月30日 追記

 汎用ハザードスイッチで復活させ、かつ、前期型後期型の問題点を対策する回路図が間違ってました。
 後期型は問題無いんですが、前期型の方は駐車灯に電気が回り込んでメインスイッチをONにすると駐車灯が付きっぱなしになると思います。なので、前期型は次の③の位置にダイオードを入れて電気が回り込まないようにします。

W3ハザード配線図改の修正

 多分、これで合ってると思います。

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