【2023年12月迄のご購入者様へ】「AIセミトラ・イグナイター」バージョンアップのお願い
カワサキ 650RS W3AIセミトラ・イグナイター

【AIセミトラ】事の発端は電気をケチりたい

オレ様は、かなり前から手製のセミトラを使ってます。

手製セミトラ
こんなの

本来、ポイント(正式名:コンタクトブレーカー)にコイルのマイナス側電源のON/OFFをさせることでコイルに充電させてプラグに火を飛ばすイグニッションシステムなんですが、なにせコイルは4Ω位しか抵抗がなく、ポイントにはかなりの電流が流れるわけです。結果、ポイントはどんどん焼損していきます。
これを、トランジスタで制御すると、ポイントに流す電流は圧倒的に減らすことができて、ポイントは焼損しなくなります。しかも、嬉しいことにプラグの火花も強く安定するという副産物付きです。セミトラにしない手はないでしょう?

ところが、欲っていうのは出るものですねぇ。これじゃ飽き足らなくなりました。

W3の発電系はオルタネータではなくダイナモです。オルタネータもダイナモも電気を発電する事に変わりはないものの、ダイナモは低回転での発電が弱く電力不足に陥りやすいので、今どき使われる事はありません。キックスタートのみでセルモーターを持たないW3は電気をそんなに食いませんが、それなのに電気不足になる程低回転でのダイナモの発電は弱いです。しかも、近頃は昼間でもヘッドライト点けて走るのが当たり前。LEDライトに変えても電気事情は厳しいです。

発電がへなちょこなのは発電システムを変えないといけないけど、そんな都合よく行くわけないので、なんとか電気の消費先を絞ることを考えます。電気をタンマリ喰うのは電球関係なんで、片っ端からLED化するという手もあるものの、ウインカーをLEDにすると球切れ判定でハイフラになるし、下手するとRLD(リザーブ・ライティング・デバイス)に引っ掛かるかもしれず、あまり思い切ったこともできない(LEDヘッドライトは大丈夫でした)。他に電気をケチるって言ってもなぁと悩むこと10秒で思いついたのは、点火コイルです。

点火コイルは4Ω程度しか抵抗がありません。4Ωで12Vの電気通すと3A36Wの電気を食います。ちょっとしたフォグランプ並みの消費電力です。でも、点火コイルなんでエンジンが動くには必要な電気なんですね。
でも、よーく考えてみてみましょう。W3はポイント点火です。ポイント点火はポイントの根元にあるカム山でポイントをコンタクトしたりブレークしたりしてコイルの通電を制御しています。当然通電時間はエンジンの回転数に依存するわけで、低回転なら長く通電、高回転なら短く通電します。ところが、肝心の点火コイルの適正な充電時間は一定で、W3のコイルは8ミリ秒が適正です。
そこで、軽く算数をしてみると、実は3,000回転あたりまでコイルはオーバーチャージなんです。回転数が低いほどオーバーチャージでアイドリングの1,000回転あたりだと適正の何倍もチャージしてます。なのに、逆に電気が十分発電される3,000回転以上はチャージ時間が足りなくなりはじめ、4,000回転後半あたりからはどんどん火花が弱くなっていっているはずです。W3は4,500回転あたりから急に大人しくなって来るのもコレのせいではないか?なんていう疑いも出てきます。

今まで、単純にポイントの動きをトランジスターに置き換えたセミトラは自前で作って使ってますが、コイルの通電時間を常に最適に制御出来れば低回転で節電できるばかりか、電気の余っている高回転でも火花が弱まることなく元気にエンジンが回るんじゃないの?ということで作ってみようとおもいます。
コイルの通電時間の事をドエルといい、それを制御することをドエルコントロールといいます。ドエルコントロールセミトラを作ってしまえっと。

仕様条件

  • 多少バッテリーが弱っていても始動時の一番電気が足りない時に十分なドエルタイムをとる。
  • エンジンが始動していない時は速やかにドエルをやめる(ポイントだと、ポイントがコンタクトしている限りひたすら通電します)
  • エンジンが始動したら回転数に関係なく8ミリ秒のドエルタイムを確保する。ただし、最大通電時間は50%までとしてコイルのオーバーヒートを防ぐ。
  • 極端な回転数変化(特に低回転)にも8ミリ秒のドエルタイムを確保する。
  • 設置場所に制限を受けたくないので、システムが極小であること。タバコの箱位じゃ大きすぎ。
  • 耐震性耐久性が十分なこと。
  • 値段はこの際どうでもいい!

今迄作っていたセミトラも、普通のセミトラではなくPICで駆動させてたので、そこにタンマリとプログラムを書き込めば大体の事は出来そうです。問題は、回転数の急変。特に低回転での急変はタイムマシンでも無い限り次の点火タイミングを正確に予測することは出来ません。今どきのECUを使った制御でもその辺は同じで、そのためにクランク1回転で26個もパルスが拾えるようなピックアップローターでエンジンの回転位置と速さを把握しています。でも、ポイントじゃ、クランク1回転に対して、ブレーク一回しか……と思ったら、もう一個タイミングを拾う手がありました。コンタクトタイミングです。しかも、3,000回転近くまでは8ミリ秒の壁がコンタクトからブレークの時間に収まります。つまり、エンジン回転数に対してコンタクトタイミングからどれだけ遅れてコイルに電気を流し始めれば8ミリ秒のドエルタイムが稼げるかかなり正確に予測できます。問題は、いつコンタクトするかはポイントごとに微妙に違うということ、このデューティー比さえ判ればいいんです。

そこで、低回転域で回転数がわりと安定している状態の時にポイントのコンタクトタイミングとブレークタイミングを計算してデューティー比を求めます。ただ、一発取りだとあんまり信用できないので、 低回転域 で回転数がわりと安定している時は常にデューティー比を修正し続けるようにします。
これで、正しいデューティー比が得られれば、次のポイントコンタクトのタイミングを予測して、実際にコンタクトとの差を元に正確なブレークタイミングが予測出来て、そこから8ミリ秒戻したところがドエル開始タイミングになるわけです。

どう?理屈上はイケそうでしょ?

コメント一覧

  1. 三浦 より:

    先日、ヤフオクでAIセミトラを購入した者
    です。今日朝に取り付けをしまして、一ヶ月振りでエンジンを始動しましたら大変に驚きました😮軽いキック2回でエンジンが始動しました!!その後もストールせずアイドリング力強くなり、嬉しくなって寒い中100キロ位走って来ました、いや~本当に最高です、急な登坂も4速で力強く加速していきます。このような素晴らしい商品を制作して頂き本当に心より感謝申し上げます。
    これから末永くAIセミトラにお世話になっていきます。

    • オレ様 オレ様 より:

      レビューありがとうございます!

      気に入って頂けて良かったです。
      W3の販売当時のキャッチコピーが「漂う男の体臭」っていう、そのキャッチコピーは如何なものか?というようなものですが、AIセミトラ・イグナイターできちんとセッティングが出ていると「あー、男の体臭だわ」と納得してしまいます(笑)

      AIセミトラ・イグナイターは吊るしの状態だと、節電に特化したプログラムになっています。もし、ドエルタイムの変更のようなプログラムの書き換えが必要な場合は、都度ご連絡ください。無料で何度でも書き換えします。

      • 三浦 より:

        返信ありがとうございます😊
        コーラより真紅のワインもありますよね(笑)W1SAのキャッチコピーは「これなら行ける遠い国、遠い町」ってカタログに書いてありました。
        自分はまだW1歴は浅いですが、亡き父が自分の幼き日にW1SAに乗っていまして、あの排気音と排ガスの香りが鮮明に脳裏に焼きついていまして
        去年に念願叶って手に入れる事が出来ました、今では一番の宝物です☺️
        何かありましたらお手数お掛け致しますがその時は宜しくお願い致します🙏

        • オレ様 オレ様 より:

          あ、その思い入れの気持ちは物凄くよく分かります。オレ様にとってのCBがそれに似ています。おむつが取れた途端にCBのタンクの上に乗せられてアチコチ遊びに連れてってもらいました。
          そんなオレ様の年齢も、もうすぐ父の没年齢に追いついてしまうんだなぁと感慨深いです。